帝都物語 第一部 魔都篇


いろいろカットをピックアップしていたのですが収拾がつかなくなりそうなのでかなり絞りました。冒頭や中盤での加藤の黒影作画は重厚で当時かなり驚かされた覚えがあるのですが今思うと小池さんだったのかなあ。そう思いながら観返してみるといろいろ感慨深いです。エフェクトもかなりいいですね。エフェクトは全編良いです。女体が盛り上がるところの作画は繰り返しカットなのですが非常に厚みがあってごつごつとした感じが出ていて上手いです。
本田さんのカットは判りやすいですね。まだ女神、メタルファイターMIKUの前です。
前田さんの式神カットは独特のタッチを多用した1コマ作画でこれはもう動いてるところを観てもらわないと言葉ではなかなかその凄さが伝わらないと思いますが、最近でいうと蟲師でやはり蟲を1コマでやっていましたがうねうねとした動きはかなり近いです。ただ、蟲師の蟲はある程度同じ動きの反復だったのに対し前田さんの式神は名状しがたい不気味な動き。観ると呪われます。


スタッフ
作画監督:沙那芭美智*1
作画監督補佐:大橋誉志光、小池健
動画チェック:尾沢直志、梅岡徹、沖村幸治、塩見智史
原画
岸田隆宏、本田雄菅沼栄治、菊池康仁、松原秀典、今掛勇、平田智浩、鶴巻和哉合田浩章、黒田和也、増尾昭一小池健、大山康彦、三原三千雄、黒沢守、大橋誉志光、中山勝一、渡辺すみお、前田真宏

*1:キャラデの人の偽名

姫さまご用心OP

最近のアニメのOPは観ていて気持ちのいいものが多いですね。
姫さまご用心OPは70年代少女マンガをフィーチャーしたキャラクターとポップなカラーバランス、テキストのビジュアル演出にメリハリのきいた軽快なアクションとコケティッシュでフェイクな動きの入ったダンスが魅力的。演出と作画が高いレベルでマッチしていていいですね。

公式サイトでOPを配信中
http://www.himehime.jp/himesama_op_high.asx


絵コンテ/演出
松尾衡
作画監督
古賀誠
原画
太田謙治、増田誠治、馬場絵理、山内尚樹、野崎レイコ、宮下雄次、水村雄之、井口忠一、阿部純子、北野幸広
色彩設計
梅崎ひろこ


なぜ井口さんがノーマッドの作品に(笑
ノーマッド
http://www.nomad-inc.co.jp/


[追記]
書くの忘れてたけど後半のカットに動画枚数が少ないものがあるのでまだ完成OPではないんじゃないかと思います。ぎりぎり許容範囲のぎこちなさなんですけど。

真魔神伝

真魔神伝 バトルロイヤルハイスクール 1987
OVAファイブスターの2年前で、結城さんの初キャラデ・作監作品になるんですね。全編に渉る氏特有の濃密なキャラ修正はさすが。

冒頭の飛び出してくる男子生徒のアクションから来てますよ!タメと跳躍のタイミングの取り方・演技が尋常じゃないです。たぶん観てる人みんなここで居住まいを正すんじゃないかと(笑 やられる空手部員のアップで確信できるんですけどやはりうつのみやさんでした。続く格闘シーンの肢体の伸びやかさやデフォルメ、特に空手部部長のゴリラ型の体躯の動きがたまりませんね。マッシブなカットは結城さんの修正か別の方の原画かもしれません。
この作品はヒロインの作画もいいんですよ。ぽっちゃり型の重心低そうなリアルな体型で魅力的。表情もかわいいカットが非常に多くこれだけでも見応えは充分にあります。
一番下段のカットはたぶん柳沼さん。

おどろおどろしいモンスターや肉塊の表現は売りにしているだけあってかなり力が入ってますね。血が回転しながら飛び散るエフェクトやひも状の肉のピクピクなどかなり綿密な作画。これは大変そうです(汗 原画に骨やお肉も得意な前田さんの名前がありますがどうだろ。さすがに判別つきません。血や肉がはじけるエフェクトは田村さんっぽいかなと思います。


[追記1]
肉塊作画は本谷利明さんらしいとのことです(※コメント欄参照)


[追記2]
アニメスタイルの記事
今石洋之(アニメーター)が選んだ「今石洋之がマニアになるきっかけになった20本」
http://www.style.fm/as/04_watch/watch02_2.shtml

楽しいムーミン一家 第63話 オーケストラ号の冒険

楽しいムーミン一家全104話の内、もっともエフェクトが炸裂していた異色回。

ムーミンでの雲は銅版画のような細かなタッチを入れて積層的な表現とやわらかさを出すことが多いですが特にこの回での描き込みは徹底していて濃度が高め。一方、波は浮世絵的な線の使い方とシルエットで見せるエフェクト作画の混在で、特にシルエット波は金田調のフラクタルな動きが気持ちいいです。火炎竜ほどの派手な動きではなく抑え目の重たい動きが波の存在感を良く出しています。煙突から排き出る煙はちょっと森本さんのエフェクトに似ていますしピンクの雲のやわらかいタッチは福島さんに似ているのですがもちろんお二人の仕事ではありません。
波のダイナミズム作画といえばホルスでの小田部さんのお仕事が思い出されます。しぶきで言えばくじらのピークでの井上さんのカットなども勉強になりますね。水の表現は個性が出やすいのでいろいろアニメーター別に並べて観ると面白いと思います。
演  出:古川政美
絵コンテ:小島正幸
作画監督:荒牧園美
原  画:船塚純子、久保川美明、宮沢康紀

EXPLORER WOMAN RAY Vol.1

冒頭、田中さんと柳沼さんの列車内アクションが楽しめます。

モブが突然大友風になるのでここから田中さん担当カットだというのがもろ判り(笑 閉鎖空間での立体を意識した作画がいいですね。女の子二人が座席の上を走るカットや手下と交錯するカットはパースが計算されていていい感じです。左上鳥篭と2段目真ん中の男が驚くカットで漫画的エフェクト(エフェクトというよりも記号ですね)が使われてます。当時としてみれば別段違和感のある表現ではないのですが田中さんも使っていたというのは意外でした。モブが大友風なので余計違和感というか。消火器を振り上げるカットは若干アルバトロス不二子のオマージュが(この後の振り上げ方が似てます)。ここらへんから柳沼さんでしょうか。列車から車に乗り移るカット、鉄枠と女の子のパースペクティブが細かく変化していて非常に見応えがあります。消火器のエフェクトは大友調リアルと金田調ケレン味のいいとこどり、以前紹介した「月夜の晩に」での車の埃エフェクトを彷彿とさせますね。
EXPLORER WOMAN RAY Vol.1は田中・柳沼担当カット以外にも見所のあるカットが多くおすすめです。Vol.2は作画的にはちょっと…。

WEBアニメスタイル 渡辺歩・小西賢一インタビュー

渡辺歩・小西賢一が語る『のび太の恐竜2006
(1)「一言で言えば『描ききるぞ』と」
http://www.style.fm/as/13_special/mini_060417.shtml

(2)「やっぱり画である事を大事にしたいんです」
http://www.style.fm/as/13_special/mini_060418.shtml

(3)「作監修正を動画として描いていたんです」
http://www.style.fm/as/13_special/mini_060419.shtml

(4)「まだまだペンペン草は生えているよ」
http://www.style.fm/as/13_special/mini_060420.shtml

先生になりたい の段

藤森さん作監回 #43「先生になりたい の段」(本放送時は#47)
Aプロ的平面構成のみならず漫画的な忍者アクションも得意とする藤森さんの筆遊びが楽しい一話。OVAジャイアント・ロボ的な体術デフォルメでメリハリのきいた画面構成になっています。


忍たまでの藤森アクションといえば第何期かの”は組”生徒たちのアクションEDが傑出していましたね。当時はまだビデオ録画だったんでちょっと見つけてここにお出しするのは難しいし、まだソフト化もそのあたりまでは進んでないのでしばらくはキッズの再放送待ちですね。