スペースコブラOP

アニマックスでまた再放送してますね。いい機会なので取り上げます。シリーズ一気に紹介するのは大変なのでまずはオープニングアニメを。
大野雄二特有の軽快なサックスではじまる冒頭カット。大人の雰囲気ぷんぷんです。縦割りレイアウトにさらに宇宙船が縦構図で登場、上下左右の無い宇宙空間を意欲的にレイアウトに組み込んでます。「さあ、SFやりますよ」という出崎さんのはりきりが伝わってきそうです。

星がコブラの瞳に重なっていく。オレンジの色彩と影がいい感じです。
このパースというかデフォルメの入れ方、いいですねー。宝島のジムを思い出します。顔パースが上手く出来るのはアニメーターの中でも限られた人たちなのですよ。というか普通あんまりしないけど。

じっとしていたコブラが動き出して手前に歩いてくるので最初のロング時は構図が締まらなくなってしまうのですが、左右黒フチにすることで視点を中央に集中させ、迫ってくるコブラのイメージを際立たせています。それが見る人によっては扉の向こうに立つコブラだったりスポットライトの中のコブラに見えたりで、はっきりとシチュエーションを描かないことでさまざまな効果を呼んでいますね。
ここ、原画は絶対福島さんだ(笑

サイコガンにキスするコブラ。もう説明不要のカッコよさとキュートさ。

このOPの肝的なカット、スペースコブラにおける作画の美しさが収斂されているようなカットです。スローモーションで描かれるこのコブラのボディラインの美しさとなまめかしい動きを見よ!

躍動感のある構図、サイコガンが発射される際のエフェクト作画とオレンジ→青→赤の美しいハレーションも必見です。

一転して均整の取れた杉野コブラ。赤い色合いと横構図に白いワイヤーフレームが踊る印象的なカット。ワイヤーフレームを手書きで表現するのは一時期流行りました。

なんでも「あしたのジョー」チックにしてしまうのは出崎さんの悪い癖というかこれがなければ出崎さんではないというか。しかし”男と港”の問答無用にシビレるカットであります。曲も前野曜子さんのこぶしがきいたサビの部分なのでこれ以上はないマッチング具合。
コブラ、そのロングコートはどこから持ってきたのだ(笑
ここ、よく見ると宇宙空間なんですよね。舞っているのはきっと宇宙カモメです(笑

悠然とビームを避けて歩くコブラ。ビームの形が三角だったり丸だったりで面白いです。あいかわらず原色をうまくアクセントに使っていてメリハリのきいた画面になっています。こういった色の使い方は後年、森本さんがさらに発展させて使っていますね。森本さんの場合は彩度を落として、メリハリがあるのに画面がくどくならないといった使い方が多いように思います。

そしてお約束の止め。動きのあったものが背景塗りで止まるので、動から静への余韻が残ります。まさにアニメーション体言止め。コブラの自信と不敵さが画面からびんびん伝わってきます。
止め絵って単純にセル絵と背景塗り絵を入れ替えてるわけではなく、2枚の絵を露出を変えて自然に入れ替わっているように見せているので、ダブラシのときよりも枚数かけてる分撮影もちょっと手間みたいですね。

エンディングはきわめてスタイリッシュ。作画は丁寧ですがその効果と比較すると手間は少なく、画面持ちのするお手本のようなEDアニメーションです。ズームアウトしてるので撮影さんはしっかり手間がかかってますが。
ところでカードの影は半透明色での塗りなのかそれともセル影を利用してるのか…最初はセル影かと思ったのですがDVDでじっくり見てみるとどうも半透明塗りっぽいですね。